2007年12月

1日●赤ちゃんと新居
研究所のような建物。私は生後数か月とおぼしき赤ちゃんを抱いて、シンプルな木製の椅子に座っている。赤ちゃんは私の乳房から力強く母乳を飲んでいる。とてもお乳の飲みの良い、生命力の強い子だと思う。幸福な時。どのぐらい時間が経過したのだろう、気がつくと夕方になっていた。誰かが私に「暗くなるから一足先に帰っていいよ」という意味のことを言ったようだ。私は赤ちゃんを抱いて家路についた。そこは私の知らない街だ。住宅地なのだろう、あたりに高いビルはなく、一戸建ての家が並んでいる。私は知らない家の扉を開けて中に入った。それは割と最近建てられたばかりの小奇麗な家で、白い扉には、黄色い線がアクセントとして塗られていたように思う。どうやらここが私の新居らしい。赤ちゃんが眠ったので、私は夕食の準備を始めた。

【解説】 今日の夢には、現実では見たことのない景色ばかりが登場したのだが、それが何故か不思議なほどリアルに感じられた。特に赤ちゃんに授乳していた時の感覚は、現実の出来事かと思われるほど臨場感にあふれていた。新居の白い扉に塗られたアクセントの黄色が印象的だった。


2日●巨大なダイヤをゲット
前後関係は全く思い出せないのだが、気がつくと巨大なダイヤモンドをゲットしていた。そのダイヤを捧げ持って太陽のほうにかざし、透明な輝きを眺めている私。
【解説】 今夜の夢はこの前にも何かストーリーがあったのかも知れない。また、ダイヤモンドをゲットしたとき私の傍らには誰かいたような気もするのだが、そのあたりの詳細は残念ながら全く思い出せない。



3日●黒柳徹子さんとバッタリ
見知らぬビル。上から下りてくるエレベーターを待っていると、扉が開き、黒のミニスカートに短いボブカットの黒柳徹子さんが飛び出してきて、危うく私と鉢合わせしそうになった。黒柳さんは何か独り言を言いながら、大急ぎで外へ飛び出して行った。それを見た私は、何故かエレベーターには乗らないことにした。そのあと、どこか別の場所へ行ったように思うのだが、具体的なことは思い出せない。
【解説】 今夜の夢に何故黒柳徹子さんが現われたのか、思い当たる節はないのだが、テレビで拝見するいつもの黒柳さんとは一味違うコケティッシュな服装と髪型が新鮮だった。



4日●バッサリ切れた足
気がつくと誰かの足がバッサリと切れていた。切れた足の上部と下部は、円形の留め具のようなもので留められている。
【解説】 時間にして1秒ほどの夢。切れた足が誰のものなのかは不明。足が切れるというショッキングな内容でありながら、全体に冷静で静かな夢だった。



5日●カラフルなリング
赤、オレンジ、黄色など明るい色彩のリング状のものがたくさん見える。それらは何かと何かをつなぐ留め具らしい。(昨日の夢と似ている)と思ったところで目が醒めた。
【解説】 今夜の夢もまさに一瞬の夢だった。昨夜の夢で足をつないでいた留め具と、今夜の夢に現われたリング状のものは、形も大きさもほぼ同じだったと思う。しかし両者が何を現わしているのかは全くわからない。



6日●駅で親族と離れ離れになる
見たことのない巨大な駅にいる。それは地上と地下に何層にも延びた建物で、夥しい数の乗客たちが恐ろしいスピードで構内を歩いている。私の近くには娘と姪のHちゃんがいる。母もいたはずなのだが、どうやら別の階ではぐれてしまったらしい。私の手には2枚の切符が握られている。しかし、さらに2枚買わなくては4人で旅をすることが出来ない。詳しい事情はわからないが、私たちには何か急ぎの用事があるようだ。ここで漫然と母を待つことは時間的に許されないので、私は切符を娘と姪に手渡し、先に行くように告げた。切符を渡された2人は真剣な面持ちで足早に去って行った。2人の姿がすっかり見えなくなってから、私は母を探して駅を走り回ったのだが、結局、最後まで母の姿はどこにも見当たらなかった。
【解説】 見知らぬ場所で親しい人たちと離れ離れになるという、やや淋しいシチュエーションの夢なのだが、娘と姪が去って行ったときの足取りはたくましく、私は2人の後ろ姿を安心して見送っていたように思う。今夜の夢には子ども達の自立、新旧世代交代といったメッセージが籠められていたのかも知れない。



7日●浮気をしようとする男たち
AさんとBさんの姿が見える。ふたりは30代の独身男性だ。彼らからは私の姿が見えていないようで、それを良いことに本音丸出しで女性の品定めをしている。AさんにもBさんにもそれぞれ恋人がいるはずだが、ふたりはこれからどこかで浮気をするつもりらしい。その様子を見た私は少し幻滅しながら、(結局この人たちも唯の平凡な男だな)と思っている。
【解説】 AさんとBさんは、現実世界では割と誠実なタイプの男性である。彼らの異性関係を私は知らないし興味もないが、今夜の夢の中でふたりが見せた顔は、現実とはだいぶ違うものだった。この夢が何を言いたいのかは不明だが、もしかしたら私は心のどこかで彼らのことを“誠実に見えるけれど実は浮気者”と評価しているのかも知れない。



8日●茶会でお点前の作法を忘れる
気がつくと私は着物姿で正座しており、目の前には襖があった。襖の向こう側には数十人のお客さま。これから茶会が始まろうとしているのだ。ところが私はお茶の点て方をすっかり忘れてしまっており、心の中でひどく焦っている。その動揺を全く見せないようにしながら、私は見た目は余裕綽々といった面持ちで、しずしずと部屋へ入って行った。
【解説】 このところ多忙のあまりお茶のお教室を休みがちだ。その焦燥感が今夜の夢には現われたらしい。



9日●ブースケによく似た可哀そうな犬
道を歩いていると、反対側からシーズーが歩いてきた。驚くほどブースケによく似た犬なのだが、目の下が涙焼けで茶色く変色しており、毛並みも悪い。栄養が悪いのだろうと思う。シャンプーもしてもらっていないようで、体毛のあちこちが毛玉になっている。私はこの犬をとても不憫に思い、心を痛めている。そのあと別のどこかへ行ったような気がするのだが、具体的なことは何も思い出せない。
【解説】 愛犬のブースケは、私にとって世界一可愛い犬だ。今夜の夢には、そのブースケにそっくりな犬が現われるのだが、誰からも手をかけてもらっていない悲壮感が漂っていた。そう言えば、夢の中の私はこの犬を撫でてやった記憶がない。夢とは言え気の毒なことをした。
【後日談】 この夢を見た日の午後、自宅近くを歩いていると、夢で見たものとそっくりなシーズー犬に遭遇した(注/犬に興味のない方にはわかって頂けないかも知れませんが、犬の顔は1匹1匹かなり違うのです)。その犬を連れていたのはホームレス風の男性で、人間も犬も髪(毛)が伸び放題。犬は目の下が茶色く変色していて、うつろな瞳で佇んでいた。急ぎの仕事の途中だったので立ち止まるわけにもゆかず、その場から立ち去った私だが、夢の中でも現実世界でもこの犬を可愛がってやれなかったのが心残りだ。ポケットにせめてジャーキーでも持っていれば良かったのだが。



10日●地球最後のカップルたち
高層ビルの内部。高校生と思われる日本人の美少女の姿が見える。セーラー服を着た彼女は、身のこなしが柔らかく、まるで“くのいち”のように活発だ。この世界を崩壊へと導く天変地異(あるいはそれに匹敵する規模の大戦争?)が起こったばかりで、ビルの中にはデスクや椅子が散乱している。瓦礫の山のなかで、デスクと椅子が幾何学的に積み重なって、一種の美しいジャングルジムのようになっている。その螺旋形は、どこか遺伝子配列(DNA RNA sequence)を思わせる。少女は果敢にも、そのジャングルジムを駆け登りはじめた。すぐ近くにはビジネススーツを着た30歳前後の男性の姿がちらりと見えているが、まるで生気がない。彼はおそらく生き残れない運命の人間なのだろう。少女には同級生のボーイフレンドがいて、彼女は彼の子を身籠っているらしい。可哀そうなことに、瓦礫の中を駆け回っているうちに彼女は流産してしまった。そのあと何か色々なことが起こり(※但しその詳細は思い出せない)、この地球上には少女とボーイフレンドのほか、ほんの少人数の人類だけが生き残るのみとなった。彼女のほかにもう1組、生き残った高校生カップルがいる。彼らは理科系の学問の秀才で、科学者の卵だ。人類の貴重な生き残りである彼らは、これから様々な研究をし、少女とボーイフレンドを助けることになるだろう。暫くして少女は再び身籠った。この赤ちゃんは救世主になる運命の子だ。私は少女の幸運を祈っている。
【解説】 「死と生」「破壊と再生」「絶望と希望」というふうに、マイナスからプラスへのエネルギー変換を想像させる壮大な夢だった。夢に登場した少女の顔を今はもう思い出すことができないのだが、目もとが涼しく活発で、凛々しくて少年っぽい、強い美少女だったような気がする。ある意味、彼女は私が理想とする女性像(女神像)なのかも知れない。



11日●見上げれば仏像の微笑
前後関係は思い出せないのだが、気がつくと私はヒマラヤらしき場所にいて、信じられないほど巨大な仏像の足元に辿り着いていた。見上げると、そこには天を突くほど大きな仏像がすっくと立っておられ、遙か上空から花びらのように仏の微笑(みしょう)が降って来るのだった。(昔、これとよく似た光景を見たことがある)と思ったところで目が醒めた。
【解説】 いつのことだったか思い出せないが、これとよく似た夢を見たことがあるような気がする。仏像の口元から花びらのように降り注いできた微笑は、限りなく艶っぽかった。ちなみに仏教用語の場合、微笑は「びしょう」ではなく「みしょう」と読む。



12日●空港と編集者
空港のビルらしき建物の内部。私はこれからどこか遠い外国へ旅立とうとしているのだ。目の前には大きなガラス窓があって、飛行機が発着している様子が見える。自分の身に何か良いことが起こったようで、心の底からじわじわと喜びが湧き起ってくる。そこへ、満面に笑みをたたえた編集者の芝田さんが現われた。これまでに見たこともないような嬉しそうな表情だ。私はそこで何かとても良い話を聞いたのだが、残念ながら目が醒めると同時に話の内容を忘れてしまった。
【解説】 今夜の夢には、かなり具体的な内容があったはずなのだ。ところが起床してみると、肝心の中身が思い出せない。何か非常におめでたい夢だったことは間違いないのだが……。ちなみに『夢の事典』(日本文芸社)によれば、「空港」の意味は「自己変革」、「空港から旅立つ夢」の意味は「これまでとは全く違う分野への転職の可能性」だそうである。



13日●「20」は多すぎる
私はチケットのような細長い紙を持っている。何のチケットかは不明。周囲の風景はぼんやりしていて殆ど見えないが、どうやらそこは室内のようだ。チケットの右下に「20」という数が印刷してあり、そこの部分の印刷だけが赤い。そのため「20」という数だけが非常に目立っている。(20は多すぎる。減らさなくては)と私は思った。やがて「20」は適正な数まで減ったような気がするのだが、そのあたりの詳細は思い出せない。
【解説】 何のことやら自分でも意味のわからない夢。「20」という数字にも思い当たる節はない。ちなみに今夜の夢には前後にもストーリーがあったと思うのだが、思い出せるのはこの部分だけである。



14日●仲間がいっぱい
視界にぼんやりとオブラートがかかった風景。周囲には、日本文化デザインフォーラムの仲間が大勢いるらしい。ここは少しも気取らず素顔の自分をさらけ出してホッとできる場所だ。安心感。やすらぎ。
【解説】 今夜の夢には具体的なストーリーがなかったか、あったとしても重要なものではなかったように思う。周囲にいた人たちの顔もハッキリと見えるわけではないのだが、何故かホッとする夢だった。なお、日本文化デザインフォーラムはこんな顔ぶれである。



15日●愛子様と布製のバッグ
広々とした芝生の上。やわらかな草の匂い。ところどころが丘陵のようになっていて、牧歌的な雰囲気が漂う。そこへ、どこからともなく愛子様がお一人で現われた。愛子様が手にしていらっしゃるのは、少し大きめの布製バッグだ。デザインはシンプルなお稽古バッグ風。色は薄ベージュ(または白?)で、表には数十文字のアルファベットが円を描くように印刷されている。よくよく見ると、それらは普通のアルファベットではなく、ヘブライ文字だったりサンスクリット文字だったりする。私が知らない古代の文字も含まれていたようだ。私は心の中で、(これが八咫鏡[やたのかがみ]に書かれた文字なのですね)と思う。やがて愛子様はどこかへ行ってしまわれた。暫くの後、私は別の場所で、先ほど見たものと全く同じバッグを発見した。バッグを手にして私はその場に佇んでいる。
【解説】 まるで御伽の国へ行って来たような、不思議な感覚が残る夢だった。ちなみに“八咫鏡”とは、三種の神器の一つのこと。『夢の事典』(日本文芸社)によれば、「バッグ」の意味は「(夢を見た人の)性格・能力・ステータス」とのことである。



16日●ルービックキューブに記された文字
気がつくと私の手の上には、ルービックキューブに似た立方体が乗っていた。それぞれの枡目には、それぞれ異なる文字が記されている。一見、何の意味もない文字の羅列のようだが、これらの文字を或る法則に従って組み替えると、人類史の真実に迫ることができるらしい。これは一種の壮大なパズルなのだと思う。このとき不意に昨夜の夢で見た布バッグの文字を思い出した私は、(ルービックキューブを動かすように文字を動かすことで秘密が解明できるに違いない)と思っている。
【解説】 昨夜に引き続き、実に不思議な感覚の残る夢だった。いちばん残念なことは、布バッグとルービックキューブに記されていた文字が具体的に何であったかを思い出せないこと。もう一度類似の夢を見たら、そのときは何が何でも文字を記憶しておかなくてはと思う。



17日●無人の部屋で殺し屋を待つ
円筒形のビルの中にある円形の広い部屋。いかにもオフィスビルらしい佇まいだが、ひと気はなく、無機質で近未来的なイメージ。部屋の入口にある受付(ただしそこにも人はいない)で、私はTさんを待っている。Tさんは同じフロアのどこかにいて、急ぎの仕事をしているらしい。彼の職業を私は知らないし興味もないが、おそらくスナイパー(殺し屋)なのだと思う。彼を待つ5分ほどの短い時間を利用して、私は黙々とペーパーワークをしている。やがて長身のTさんが颯爽と姿を現わした。いつものニット帽、いつもの髭。30歳前とは思えない落ち着きが感じられる。私たちは足早に部屋を出て、そのままエレベーターホールへと向かった。
【解説】 静かで穏やかな夢だった。そういえば今夜の夢には“音声”が全くなかったように思う。Tさんも私も一言も発していないし、雑音もなかったからだ。それにしてもTさんがスナイパーとは物騒な話である(現実世界でのTさんの職業はプロデューサー)。そう言えば先日、Tさんではない別の男友達が「セカンドライフでは殺し屋になりたい」と言っていた。そのことが今夜の夢に反映されているのかも知れないが、殺し屋の役が何故Tさんなのか、理由はわからない。



18日●5つの選択肢
私はどこかへ行こうとしている。そこへ行くルートには5種類あって、どの道を選ぶかは私自身の自由意思に任されている。しかし今の私なら、5つの道のうちのどれを通っても楽しいような気がする。心はまさに「ケ・セラ・セラ(なるようになるさ)」だ。5つのうち特にどれと決めることなく、私はスタスタと歩きはじめた。
【解説】 夢の中で、私はどこへ行こうとしていたのだろう。ルートが決まっていないにもかかわらず、非常に心が安定していたようだ。私の座右の銘(?)である「すべての道がローマに通じるならば、ドン・キホーテよ、でたらめに行け」を地でいくような夢だった。



19日●氷の坂を滑り落ちる美女と巨大な軍艦島
気がつくと山の上にいた。山と言っても、それは自然の山ではなく人為的に造られたものなのかも知れない。あるいはこれはアートなのか。山の上には目が覚めるほどの美女がいて、甲高い悲鳴をあげながら山の表面を滑り落ちて行った。見れば、彼女が滑って行った部分はすべて青々とした氷ではないか。この山の表面には所々に氷が張っているのだ。それを見た男性が「あんなところに立っていたら、そりゃあ滑り落ちるだろうよ」とコメントしている。そのあとも、驚くほど美しい女性たちが2〜3人、「助けて!」などと叫びながら次々に氷の坂を滑り落ちて行った。坂はかなりの急勾配で、一旦滑り出したが最後、坂の下まで落ち切ってしまう以外に止まる方法はないのだ。しかし、何十メートルも滑落したというのに、不思議なことに美女たちは全員無傷ではないか。私は安らかな気持ちでその光景を見ている。場面が急転し、私は陸地から海の向こうを眺めている。海に浮かんでいるのは軍艦の形をした巨大な物体だ。しかし、よくよく見るとそれは軍艦ではなく、小さな家が100層にも200層にもうずたかく重なって軍艦のような形になったアンバランスな建造物なのだった。近くにいる誰かが、この軍艦島について「この島はもうダメだな」というニュアンスのネガティブなコメントをした。私は落ち着いた気分で、風に吹かれながら無言で軍艦島を眺めている。
【解説】 全体にかなり奇妙な夢だった。「氷を滑り落ちる夢」も「家が重なってアンバランスな軍艦のようになっている夢」も、どちらもバランスがすこぶる悪く、危ういイメージなのだが、いずれの夢の中でも私は達観したように安定した気分でいるのだった。『夢の事典』(日本文芸社)によれば、「氷」の意味は「冷え切った心」、「落ちても怪我をしない」意味は「現在抱えている問題は(私が考えているほどには)深刻なものではない」、「美女」の意味は「心身ともに健康な状態」ということだが、さて、これらは全体でどのような意味になるのだろう。



20日●燃える立方体
立方体の形をした何かが燃えている。近くでそれを見ている若い人たち。これは火事なのか、単なる焚き火なのか。私にはわからない。若い人たちが焦っていない様子を見る限り、これは焚き火なのだろう。立方体は炬燵(コタツ)かも知れない。
【解説】 今夜の夢にはもう少し具体的なストーリーがあったような気もするのだが、思い出せるのはこの部分だけ。昨日は(新しい炬燵布団を買おうかな)と思い、ショッピングカタログを見ていた。それでこのような夢を見たのだろうか。



21日●勢いよく噴き出す水
青い空が見える。その鮮やかなブルーを背景にして、大量の水が左から右へと噴き出している。消防車のホースから放水しているか、或いはそれ以上に凄まじい勢いだ。この場所で、何かおめでたいことが行なわれているようだ。私はほかの野次馬たちと一緒にこの様子を見物している。
【解説】 昨夜の「火」に引き続き、今夜は「水」である。この分だと明日はさだめし「風」の夢でも見るのだろうか(笑)。※注/インドの伝統医学アーユルヴェーダによれば、この宇宙はすべて風(ヴァータ)・火(ピッタ)・水(カパ)の三要素により構成されると考えられている。



22日●歯が抜ける
口中に違和感があったので鏡を覗くと、歯がポロリと抜けてしまった。治療に行かなくてはと思う。
【解説】 歯が抜ける夢は良くないとよく言われるが、実は今、私は現実世界でも奥歯が虫歯なのだ(苦笑)。早く治さなくては。



23日●ヴァイオリン教室でピアノを習う童女たち
小学校低学年と思しき童女ら15〜20人の後ろ姿が見える。彼女たちは一人残らず髪を腰まで伸ばしており、金髪の子と黒髪の子が半々だ。全員がヴァイオリン教室の生徒だという。ところがこの教室、「ヴァイオリン教室」と名乗ってはいるものの、実際にはピアノを習っている子が大多数で、ヴァイオリンは(担当教官が不在のため?)教えてもらえないのだそうだ。(ヴァイオリンを習いに来てピアノを習わねばならないとは、なんという不運!)と私は思っている。
【解説】 今夜の夢でいちばん印象に残っているのは、童女たちの長い髪である。思えば私は彼女たちの後ろ姿しか見ていない。ゆえに、彼女たちの顔が果たして美しかったのかどうかはわからないのだが、夢から醒めた瞬間に思ったことは何故か(平凡な顔立ちの娘たちだったなあ)だった。ヴァイオリンを習いに行ってピアノを習う羽目になるというストーリーの意味も全く意味不明だが、私個人はヴァイオリンよりピアノのほうが(楽器として)圧倒的に好きである。



24日●行きは良い良い帰りは怖い
インド政府の招聘を受けて、急遽ニューデリーへと向かった。講演を行なう予定の場所に赴いたところ、会場となる部屋は何故か2か所に分かれており、それぞれの部屋には30人前後の聴衆が既に集まっていた。そのうちのひとりは前に私の記事を書いてくれたことのある「ザ・ヒンドゥー」(インドを代表する英字新聞)の女性記者だ。2か所に別れてしまった人々を一か所に集め、一度に講演をしたほうが遥かに効率が良い。そう思った私は、1か所に集まってくださいと聴衆に告げた。前後関係は思い出せないのだが、途中で友人のYさん(日本人男性)と会った。Yさんは今夜のエア・インディア便で東京に帰るのだという。その次に気がついたとき、既に講演会は終わっていた。私は(用事も終わったことだし、今夜の飛行機で帰ろう)と思い立つ。ところがよくよく見ると、主催者から送られてきた航空券は往路だけで、復路のチケットがどこにも見当たらないのだ。あわててほうぼうを探すが見つからない。「行きは良い良い帰りは怖い」とはこのことだと思う。埒が明かないので、エア・インディアのオフィスに直接掛け合ってみることにした。ところが驚いたことに、ここニューデリーにはエア・インディアのオフィスが存在しないことが判明。唖然としながらますます焦っていると、小中学校時代のクラスメートだったT子さんが微笑みながらどこからともなく現われた。聞けばT子さんは今ではインドで暮らしているのだという。「大丈夫、私が何とかするから」と彼女が言ってくれたので、私はようやく安堵しながら、(そう言えばT子さんは小学生の頃から穏やかで優しい人だったっけ)としみじみ思っている。場面が急転し、私はテレビ(或いは新聞)のニュースを見ている。来年、皇室にもうひとり赤ちゃんが生まれるというお目出度いニュースだ。それを聞いた私は(これで日本は安泰だ)と思っている。
【解説】 全体に意味のわからない夢だった。なかでも特に不思議なのは、T子さんの登場だ。T子さんとは中学卒業以来ずっと会っていないが、当時から物静かな人だった。彼女がインドに住んでいないことは言うまでもない。そのT子さんが何故今夜の夢に現われたのかは謎。なお、ニューデリーにはエア・インディアのオフィスはもちろん存在する。念のため。



25日●友人のためにバックパックを買う
広い部屋。温泉旅館だったような気もするし、或いはそうではなかった気もする。あたりには大勢の人の気配。不意に物売りの女性がにこやかに近づいてきた。それは小学校から高校まで部活でずっと一緒だったA美だった気がするが、別の女性かも知れない。彼女が売っているのは細々(こまごま)としたオモチャのような品物で、価格は1,000円程度。不思議なことに、それらの品物はすべてグリーン一色なのである。なかで特に目立っていたバックパックを手に取り、じっくり眺めて見た。それはしっかりした上質のビニール製で、全面にアメリカンポップっぽいコミカルな人間のイラストがたくさん描かれており、カバンの底からは足が2本ぶらぶらと吊り下がっている。全体に楽しくユーモラスで、と言って幼稚過ぎない、どこか心弾むようなデザインだ。値段は確か2,800円で、すべての品物の中でいちばん高額だったと思う。友達のTさんへのプレゼントにぴったりだと思い、私はそのバックパックを買うことにした。そのあと何か全く別の出来事が起こったような気がするのだが、具体的なことは少しも思い出せない。
【解説】 昨夜に引き続き、今夜の夢にも学生時代の友人が登場した。いつもお世話になっている『夢の事典』(日本文芸社)によれば、「同級生の夢」は「純真で責任のない自由な子ども時代への郷愁」だと言うが、私自身には子ども時代への郷愁など無いに等しいので、この解釈は当てはまらないと思う。また「リュックサック/バックパック」の夢の意味は「人生の重荷や人生経験の象徴。背負っているリュックが大きくて重いなら、多くの責任や苦しみを背負っている」とのこと。夢の中の私は、楽しげな印象のバックパックを友人に贈ろうとしていた。ということは、私がこの友人に負わせようとしている“責任”は、楽しくてユーモラスで、かと言って幼稚過ぎず、どこか心弾むような“責任”なのかも知れない。ちなみに同書によれば、「緑色」の意味は「繁殖/成長/進歩/癒し/安らぎ」だそうである。



26日●宝の在り処を示す秘密の言語
気がつくと未舗装の道を歩いていた。雨が降ってるようで、サリーの裾をたくし上げサンダルを履いた自分の足元と、そこかしこに出来た水溜りが見える。どうやらここはインドのムンバイ郊外らしい。不意に知らない言葉で声をかけられた。顔を上げると、目の前に立っていたのは見覚えのある年輩の女性である。以前、私の講演会を聴きに来てくれたことがある言語学者のインド女性だ。彼女は自分の専門の言葉でいきなりベラベラ色々と話しかけてきた。しかしそれは聞いたこともない奇妙な言語で、私は彼女の発する言葉を一言も聞き取れない。「それは本当にインドの言語なの?」と英語で尋ねると、彼女は首を横に振りながら、「ここだけの話だけど、この言葉はインド亜大陸がユーラシア大陸と合体する以前の古代の言葉で、インド・ヨーロッパ語族とは無関係なの。この言語には宝の在り処を示す暗号が含まれているのだけど、話せる人は世界に10人もいないわ。貴女になら教えてもいいわよ」と、囁くような声で言った。私はポーカーフェイスのまま、心の中で(またしても埋蔵金がらみの話か)と思っている。
【解説】 少し前に映画『ナショナル・トレジャー1』と『ナショナル・トレジャー2』を続けて観た。どちらもフリーメイソンがらみの秘宝の在り処をめぐるアドベンチャー物だ。そのうえ先週は「徳川の埋蔵金うんぬん」で知られる日光にも行ってきた。今夜の夢はそれらのイメージが混ざったものだったのだろう。ちなみに、夢に登場したインドの女性言語学者は実在する。



27日●三次元と四次元にまたがって存在する緑色のカーペット
空中に緑色のカーペットが浮かんでいるのが見える。カーペットは垂直線(Y軸)に対して約45度の角度で傾きながらゆっくりと水平方向に回転しており、一方の端は四次元にかかっているため、三次元に存在している私の目には見えない。私は黙ってそのカーペットを観察している。
【解説】 最初から最後まで静かで宗教的で、イメージとしては瞑想しているときの精神状態のような夢だった。しかし宙に浮いていたのが何故カーペットなのか、その理由はわからない。『夢の事典』(日本文芸社)によれば、「カーペット」の意味は「包容力/寛容さ」、「緑色」の意味は「繁殖/成長/安らぎ」だそうである。



28日●……
【解説】 今夜は何か“海”に関係のある夢を見たような気がするのだが、詳細は全く思いだせない。



29日●誰かを探して旅をする
前後関係は思い出せないのだが、どうやら私は旅をしているようだ。目の前にマッチ箱のような形の小さなコテージが見える。但し、そこは私が泊っている宿ではなく、“誰か”がつい最近まで滞在していた宿のようだ。地元の若い女性が私に「早く移動したほうがいいですよ」と促した。私は急いで別の場所へ移動しようとしている。そこには例の“誰か”が滞在しているようなのだが、それが誰なのかは全くわからない。
【解説】 今夜の夢には長いストーリーがあったような気がする。夢の中で私は“誰か”に逢うために移動していたようなのだが、目ざす相手に逢えた記憶はない。昨日は現実世界で『木枯し紋次郎』のテーマソング(上条恒彦さんが歌う「どこかで誰かがきっと待っていてくれる」で始まる名曲)を聞いた。今夜の夢には、あの曲のイメージが投影されていたのかも知れない。



30日●ブロックを積み重ねた形の集合住宅
見知らぬ風景。近くに海の存在を感じる。すぐ目の前には、ブロックを積み重ねたような形の集合住宅が見える。黒川紀章先生のメタボリズムを思い出させるデザインだ。住宅はひっそりと静まり返っており、人がいる気配はしなかった。
【解説】 上野の近くに、メタボリズムを代表するような形の(つまりブロックを積み重ねたような形の)高層ビルがある。最初は法華クラブ、その後は外国資本の高級ホテルとして使われていたらしいが、いよいよ解体が決まるという話を最近友人としたばかりだ。その記憶が今夜の夢に繋がっているのかも知れないが、定かではない。



31日●ブースケのトイレは虹色のトンネル
夢の中で何度も何度も目が醒めては、ブースケをトイレに連れて行く。ブースケが眠っている間もひっきりなしにシーツに触り、おねしょしていないことを確認してはホッと安堵している。そのうちブースケが急に走り出したので追いかけて行くと、虹色のトンネルのような場所に迷い込んだ。あわてて行ってみると、虹色の中で用を足しているブースケの姿が見えた。
【解説】 昨夜から長野の実家へ泊まりに来ている。長野は東京と比べてさすがに寒い。昨夜は(ブースケが夜中におねしょをしないだろうか)と心配しながら眠ったので、こんなトンデモナイ夢を見たようだ(苦笑)。





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